H25年度税制改正 その2

今日は、身近に感じる国際化ということについて書いてみたいと思います。

 

当事務所は行政書士事務所でありながら資産運用業である証券仲介業もやっている一風変わった事務所です。
金融庁のHPで全国の登録者を一覧できますが、俗に言う”法律系”士業と言われる弁護士、司法書士、行政書士との兼業で当該業務を行っている事務所は他にないようですので、おそらく現時点で日本で唯一の事務所かなと思っています?

 

で何を言いたいかということですが、資産運用という金融系の業務に関してはとうの昔から国際化が当然だということです。

うちの顧問先の運用のポートフォリオは、現時点で約80%は国外に投資しています。

国内への資産の持込みが制限されている国やその方法が制限されている国は一部あるものの、大半の先進国及びそれに準ずる国ではシステムや取引が整備されており、お金は簡単に国を飛び越えることができます。人やものがそうでないのと比べると隔世の感がします。

 

さて本日の本題ですが税法を含め日本でのシステムは、そういう国際化を後追いしていることを強く感じますが、やっと今年の税制改正でいわゆる”キャピタルフライト”の問題が手当されました。最高裁か高裁かは忘れましたが司法判断の影響が大きかったと思います(笑)。

 

現行法上は、国内在住の被相続人が基礎控除以上の相続財産を保有している場合に、国外に在住している日本国籍を持たない相続人がいる場合には国内財産のみにしか課税されませんので、金融財産そのもの及び不動産として相続財産を生前に国外に持ちだしておけば相続又は贈与税が合法的に節税できるというスキームがありました。つまり母親が出産真近に海外に移転しそこで出産、生れた子供に海外の国籍を取得させて海外に持ち出した財産を海外で贈与すれば贈与税がかからないということです(相続については代襲の場合ということになりますが・・・)。当初税務当局はこれを租税回避行為として争いましたが、司法は事前に立法がなされていないことから財産権の侵害と判断し請求棄却したという事案ではなかったかと思います。

改正後はこのスキームが使えなくなりますが、まったく検討の余地がないかというとそうではなく別の方法を考えていくことになります。

なお子供が日本国籍にしたい場合は、母親は日本国民ですから国籍法14条で戻せばよいという話になります。

 

いつも思うのですが、物事を知らないとこの世の中ムダに損失を蒙ることが多いようです。