税収増大による景気刺激と景気刺激による税収増大 どっちが先?

何だかニワトリが先かたまごが先かという禅問答のような話なので、答えは一つに決まらないと思います。

この問題を考えるについてはいろいろな切り口があろうかと思いますが、検討し始めると私の取扱分野だけでもキリがなくなりそうなので、今回は相続税法21の7及び措法70の2の4という視点から眺めてみようかと思います。

これは平たく言えば一般贈与と特例贈与の話なわけですが、あまりご存知でない方のために簡単に説明しますと、現行法の贈与税とは別に特例贈与税というくくりを作り、20歳以上の者が直系尊属より受ける贈与については別に税率と控除額を設定し、日本国民全体からみて大半の資産を保有している高齢者層から若者層に資産を移すことによってお金をいっぱい使ってもらおうという施策です。つまり景気刺激→税収増大を中心とし、一部の高額贈与者からは施行日であるH27年1月前に贈与を促すことで早めの贈与をさせる及び相続税を意図的に減額させるスキームを作りにくくするものだと思います。

 

われわれFPとしては、贈与することが決まっているのなら結論としていつ贈与するのが税法的には得するの?ということになるわけですが、簡単にまとめると以下のとおりになります。

贈与額(基礎控除前)         対   応
・500万未満            変わらないのでいつでもお好きな方で
・500万~1,110万       特例該当ならH27年以降に贈与しましょう
・1,100万~3,610万     H27年以降に贈与しましょう

・3,610万~8,410万     特例該当ならH27年以降に贈与するのが賢いですが、該当しなければ今のうちに

・8,410万~           H27年になる前に贈与した方が賢いです

 

ただこれは贈与しなければならないことを前提にし、かつ他の節税できる特例に該当しない事が前提なので、もしFPとして相談を受けた場合にはその辺りの検討をしなければならないのは当然の話です。

 

なお同一年中に直系尊属から特例贈与財産と一般贈与財産がある場合には、基礎控除等の適用に関する調整計算が必要となりますが、その際には“在外財産に対する贈与税額の控除”の読み替え適用となりますので、もちろん再計算が必要になります。

 

ただざっくりとこの数字は頭に入れておくと良いのではないでしょうか・・・。