住宅関連税制とすまい給付金

消費税増税を前提にして、前回の消費税増税時の駆け込み需要の反省を踏まえ、今回はその平準化を目的として各種税制上の施策が予定されているのは皆さんご存知のとおりです。

 

一つは税率引上げ時に一気に駆け込み需要が生じないよう半年前の指定日を設定し、その日の前日までに契約をした場合には旧税率を適用するというものです。引上げの回数は現在最低2回は予定されています。政府内ではよりなだらかにすべきかどうか検討する一派も有力な様子ですので今後の動向を見て行く必要もありますが、少なくとも現在の試案では4回のタイミングを設定して分散化を図っているわけです。

 

二つ目は既存の手法である住宅ローン控除をパワーアップした住宅ローン減税です(キャッシュ一括払いのお金持ち向けの投資型減税もありますが、今回は住宅ローン減税に絞って記載することにします。)。平均的な所得+αのサラリーマンの場合を含めても適用される所得税率は大体7.19%以下に留まりますので、上限はあるものの(8%:9.75万以下、10%:13.65万以下)10%の住民税からも控除できるのは非常に大盤振る舞いな感じがします。ただ当地福岡辺りの地方都市ではあんまり恩恵にあずれる人は少ないでしょうけど(笑)。

 

ただアベノミクスは増税しながら景気振興もしなければならないので、最も母数の多い平均所得サラリーマン層のモチベーションを喚起する目的で設定されたのが、”すまい給付金”というからくりになるわけです。これなら平均的な所得のサラリーマンにも十分恩恵が受けられるラインとなります。

 

前置きの説明が長くなりましたが、今日の本題はこれからです。

それは”代理受領”についてです。

 

まず前提として給付額を決定する重要な要素となる都道府県民税の所得割について説明すると、一般的にその基準日は”引渡し時期”基準です。つまり昨年昇格して給料が上がった人は、引渡しは6月いっぱいまでにするよう不動産業者と交渉した方が良いということになります。それはどの年度の課税証明書が添付書面となるかという部分に関わりますが、7月以降引渡しだと昨年の収入が基準になりますので、還付される額が減る可能性が生じるということです。

 

今回の給付は本人以外に、住宅事業者が代理受領することが認められています。表面的な購入者側のメリットは還付される額分だけ業者に頭金として支払う額が軽減できることもありますが、今回言いたいのは、代理受領の場合は収入の基準点が”請負契約・売買契約時点に前倒しされる”ということです。つまり給料が大幅に増加しないにしても、前年度を下回ることがない人は基準点を前に持ってきたほうが税法上有利ということです。大幅に増加した人はいうまでもありません。居宅買う人は給付要件の適否は厳密に見るのが当然でしょうから、購入者側の実質的な注意点は居宅の所有権の持分割合を変更せずに済むようにさえしておけばよいということになります。

 

税法上このように”期ズレ”を大胆に認めるのはあまりないですが、今回はOKですので、収入のコントロールができる人又は収入の増減があらかじめ読める人はちょっと手続方法を工夫することで新居にあわせて購入する家電製品代ぐらいを捻出することも可能なので検討してみてはいかがでしょうか?